(54)【考案の名称】段ボールシートを用いた積層造形置物

(73)【実用新案権者】株式会社イナパック

(72)【考案者】【考案者】

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【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は段ボールシートを用いて造形された置物に関する。

【従来の技術】

【0002】
各種の置物、例えばキャラクター化された動物や人物である招き猫、狸、ふくろう、犬、七福神、金太郎などのほか各種のアニメのキャラクターが、家庭、店舗、事務所などに縁起物や装飾品として置かれている。これらの置物は通常、陶器、彫刻、鋳造、張子、布細工などの手工芸品やプラスチック成型品として作製されており、一個ずつ個別に手作りされる場合もあれば、原型を作成してそれを基に大量に複製される場合もある。
【0003】
また、これらの置物は紙細工でも作られるが、紙として段ボールシートが用いられることもある。段ボールシートは中空で軽く、また強度にも優れており、このような置物に限らず段ボールシートを切り取って細工をし、色々な造形物を作成することも行われている。そして、これらの細工用材料として、段ボールシートに型抜き加工を施して、これらの造形物のパーツの形状に沿った切込みを入れることで、簡単に各パーツに切り取って、切り取ったパーツを組み合わせて色々な造形物を作ることができるキットしても市販されている。
【0004】
一方、立体造形品の作成法として、各種の試作モデルの作成などにRP法(ラピッドプロトタイピング法)ないしは積層造形法と呼ばれる方法が行われている。この方法は、三次元立体像の形状データから、この立体像を水平にスライスした輪切りデータである二次元データに転換し、この二次元データに基づき多数の輪切り平面像を作成し、この多数の輪切り平面像を積み重ねて立体像とする方法であり、かつて教材としてよく作成された、等高線に沿った平面図を積み重ねて作成する立体地図と同様な方法である。この積層造形法では、種々の材料と方法が用いられている。そして、この方法を応用して、三次元CADデータに基づいてシートを切り取って作成した多数の平面像を、積層することで作成した立体モデルやその製作方法が特許文献1に記載されている。この方法では、段ボールシートを切り取ってマネキンを作製することが記載されている。
【0005】
この積層造形法では、輪切りにした平面像を積み重ねて立体像としているために、立体像の外形が階段状となり、滑らかな外形とならない。外形を滑らかな立体像とするためには、平面像を切り取るフィルムやシートを薄いものとすればよいが、積層する段数が増え作製に時間を要することになる。特に段ボールシートを用いる場合には、シートの厚さは通常のシートで1〜5mm、マイクロフルートでも0.5mm程度でありそのままでは滑らかな外形とはならず、滑らかな表面が必要な場合には、二次加工として外表面の段差を削ったり、パテなどで埋めたりする必要があった。また、段ボールシートでは厚さもあるため、外形の表現にも制約があった。
【0006】

【効果】

【0014】
段ボールシートを切り取って積層造形した置物であっても、外形部分像を併用しているので外形が見栄えがする。特に、段ボールシートの段(フルート)の波模様と外形部分像のライナー面との組合せが、置物の外形表面を独特の装飾面を形成し、見栄えのする置物となっている。この場合に、外形部分像のライナー面が輪切り平面像のライナー面と直交させて配置し、さらに、輪切り平面像を構成する段ボールシートの中芯の段方向(フルート方向)を置物の前後方向と平行とすることでこの効果はより発揮できる。すなわち、置物正面から見た場合に段(フルート)の波模様がきれいな装飾となり、外形部分像のライナー面との組合せが強調される。さらに、この外形部分像のライナー面に装飾を施すことによりこの効果は一層強調される。
【0015】
また、本考案の切込みを入れた段ボールシートを使用することで誰でも容易に、積層造形置物が製作できる。そして、積み重ね位置を決定する芯棒と貫通孔とを組み合わせることで、輪切り平面像の位置決めが容易にでき、場合によってはこの芯棒を貫通孔に通すことのみで固定することも可能である。さらには、輪切り平面像に積み重ね位置を決定するマークが設けられことで、隣接する輪切り平面像が正確な位置に積み重ねられた置物となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】積層造形置物である招き猫の斜視図である。
【図2】図1の招き猫を造形するための、輪切り平面像と外形部分像などの切り込みが入れられた段ボールシートである。

【0017】
以下本考案の実施例を図により説明をする。図1は本考案の積層造形置物であって、造形された招き猫100を示しており、図2はこの招き猫100を造形するための、輪切り平面像と外形部分像などの切り込みの入った段ボールシートA、B、CおよびDである。
【0018】
図2において、段ボールシートA、B、CおよびDで1〜35として示している図形は、招き猫の立体像を下部より順番に35段階に水平に輪切りした面の形状に沿った、輪切り平面像1〜35である。シートDにある平面像31〜35は左右の耳の部分となるために、各平面像は右耳群51と左耳群52との一対の平面像となっている。そして、平面像1〜29には、積み重ね位置を決定する芯棒120を通すための貫通孔130がそれぞれに設けられており、平面像29〜34には、積み重ね位置を決定するためのマーク140が設けられている。外形部分像はシートDにある目101、耳102、鈴103、首輪104、小判105である。そして、シートAには積み重ね位置を決定する芯棒120が設けられている。そして、図2では平面像1の形状のみに切り込み110の符号を記載したが、これらの像や貫通孔および芯棒には形状にそった切り込み110が、全ての像などに入れられており、置物を積層造形する際に、各像を簡単に切り取って積層造形することができる。
【0019】
平面像1〜29には貫通孔130が設けられており、芯棒120を切り取って、点線121に沿って二つ折りにした芯棒を、それぞれの平面像の貫通孔130に通すことにより、これらの平面像を定位置に積み重ねることができる。この積み重ねに際しては、接着剤を使用してこれらの平面像同士を接着固定して積層造形することができるし、芯棒と貫通孔とをタイトに嵌合できれば、接着剤なしでも積層することも可能である。
【0020】
平面像30〜35は、平面像29の上に積み上げられて積層造形されるが、この場合には芯棒を利用しないので、平面像29〜34には隣接して上に積み上げる平面像の位置を決定するマーク140が施されている。この例では、これらのマーク140はミシン目の切り込みとして施されている。これは、段ボールシートにダイカッターなどで、切断や切り取り用の切込みを入れるのに際して、カッター刃を準備しておけば同時に行うことができるためである。したがって、このマークは別途に印字して作成することもできる。特に外形部分像に装飾を施す場合には、この印刷などの装飾作業と同時にこのマークを印字することができる。
【0021】
段ボールシートのシートA〜Dでは、中芯の段(フルート)方向は図2の上下方向となっており、シートBの図形200が段方向を示すもので、点線が段方向である。輪切り平面像は図面の下方が前で、図面の上方が後なので、この段方向は招き猫像の前後方向と平行になっている。
【0022】
図1はシートA〜Dから切り取った、平面像1〜35を積層し、外形部分像101〜105を配置した招き猫100を示している。この招き猫100では、図1で示すように、平面像1を一番下の足元とし、以下番号順に平面像を積み上げ、最上部は平面像35の右耳と左耳である。これらの輪切り平面像の積み上げ作業は平面像1〜29は貫通孔130に芯棒120を通すことで位置決めを行い、平面像30〜35の積み上げ作業はマーク140を利用して位置決めを行うことで積層造形できる。そして、これらの輪切り平面像を積層した積層造形像に、外形部分像である目101、耳102、鈴103、首輪104、小判105を配置して作成した積層造形置物が招き猫100である。これらの外形部分像のライナー面は、積層された輪切り平面像のライナー面と直交して配置されている。
【0023】
このように作成した招き猫100は正面から見ると、積層された輪切り平面像の中芯の段(フルート)の波模様が綺麗に揃い、また外形部分像のライナー面が垂直となり、見栄えのする外形表面を形成している。また、これらの外形部分像には、目であれば瞳、小判であれば百万両などの装飾を施してもよいし、装飾を施すことなくライナーと段の波模様のみの組合せで外形表面を形成してもよい。
【0024】
図2に示す、切り込みの入れられた段ボールシートはシートA〜Dを一枚のシートとして供することもできるが、シートが大きなものとなるため、本実施例に示すように切断線201、202で4枚のシートに切り取り、4枚をまとめ、包装紙で包むか、別の段ボールシートで挟むか、箱に入れるなどしてセットにすることが好ましい。また、各シートA〜Dには接着剤の収納部150が切り抜かれて設けられており、収納部150の形状に合わせて、4枚のシートを重ね合わせセットにし、この収納部に接着剤を納めて、積層造形置物作成用キットとすることができる。接着剤としては特に限定されないが、水性タイプのものが好ましく、水溶性ないしは水分散性の天然または合成高分子を用いたものが好ましく、特に酢酸ビニル系エマルジョンタイプの接着剤が好ましい。このキットにはさらに、説明書などが添付される。
【0025】
本考案の段ボールシートには、通常の外装用段ボールであるA段、B段、C段のいずれでも、E段、F段、G段などのマイクロフルートでも使用することができる。さらに、これらの段ボールを二重に貼り合わせた複両面段ボールであってもよい。しかし、本考案では置物の作成に用いられるので、ライナーとしては白ライナーを用いることが好ましい。
【0026】
また、輪切り平面像や外形部分像などの形状の切込みを入れるには、ダイカッターなどで型抜き加工を行うこともできるし、置物の三次元立体像の形状データから、立体像を水平にスライスした輪切りデータである二次元データに転換し、このデータを使用し、NCカッター刃やレーザにより切込みを入れることができる。さらには、段ボールシートに平面像や外形部分像などの形状を印刷し、印刷された形状に沿って、積層造形置物の制作に際して、手作業によりカッターで切り取って置物を作成することもできる。
【0027】
本考案の置物は、以上のように段ボールシートで構成されているため、軽くて強度のあるものができるし、またリサイクル資源でもあり環境にやさしいものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本考案の置物は、家庭、店舗、事務所などに縁起物や装飾品として置かれる置物であり、さらにこの置物作成用の段ボールシートを使用して、購入者が自作でき、この段ボールシートは工作用キットとしても有用なものである。
【0029】
1〜35 輪切り平面像
51 輪切り平面像(右耳群)
52 輪切り平面像(左耳群)
100 招き猫
101 外形部分像(目)
102 外形部分像(耳)
103 外形部分像(鈴)
104 外形部分像(首輪)
105 外形部分像(小判)
110 像の切り込み
120 芯棒
121 芯棒の折り曲げ線
130 貫通孔
140 位置決めマーク
150 接着剤収納部
200 段方向の図示
201、202 段ボールシートの切り離し線
A、B、C、D 段ボールシート

(57)【要約】

【課題】段ボールシートを切り取って作成した多数の輪切り平面像を積み重ねて作成する積層造形置物において、外形表現が豊かな段ボールシート製の積層造形置物、およびこの置物を造形するための段ボールシートを提供する。【解決手段】置物立体像の水平輪切り面の形状に沿って、段ボールシートを切り取って作成した多数の輪切り平面像1,10,20,30,35等を積み重ねて作成した積層造形像に、置物の外形の一部を表現する段ボールシートを切り取って作成した外形部分像101〜105を配置して積層造形置物とする。さらに、置物立体像の水平輪切り面の形状に沿った多数の輪切り平面像と、置物の外形の一部を表現する外形部分像とを切り取るための切り込みを入れて、前記の積層造形置物を造形するための段ボールシートを構成する。


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