
【0001】
本考案は、帆立貝の養殖に際し、帆立貝の係止ピンからの抜け出しを防止するようにした帆立貝養殖用の係止ピンの改良に関するものである。
【0002】
ロープの長さ方向に直交する方向に貫通し、両端部の抜止部に帆立貝を係止し、海中にロープを垂らし、帆立貝を養殖するのに用いられる帆立貝養殖用の係止ピンは、従来から知られている。
【0013】
請求項1に係る考案では、連結部は帆立貝抜止片の直後からロープ抜止片の基部の直前まで、断面積が連続して大きくなり、従って、連結部は滑らかに連続して傾斜して変化するので、連結部は伸びが急激に変化する点が存在せず、破断が起こりにくくなり、破断への抵抗力が格段に大きくなり、帆立貝の成長、付着物等による重量増、波浪の影響、水揚げ時の抵抗等による該係止ピンの連結部の破断を可及的に防止し、帆立貝の係止及び支持の強度の高い係止ピンを得ることができる。
【0014】
請求項2に係る考案では、連結部は、帆立貝抜止片の基部の直後から、ロープ抜止片の基部の直前まで、一様に同じ断面積としたので、連結部は伸びが急激に変化する点が存在せず、破断が起こりにくくなり、破断への抵抗力が格段に大きくなり、帆立貝の成長、付着物等による重量増、波浪の影響、水揚げ時の抵抗等による該係止ピンの連結部の破断を可及的に防止し、帆立貝係止、支持の強度の高い係止ピンを得ることができる。
【0015】
請求項3に係る考案では、略<形、>形の帆立貝の係止部からロープ抜止部に繋がる連結部は、帆立貝抜止片の直後からロープ抜止片の基部の直前まで、断面積が連続して大きくなり、従って、連結部は滑らかに連続して傾斜して変化するので、連結部は伸びが急激に変化する点が存在せず、破断が起こりにくくなり、破断への抵抗力が格段に大きくなり、帆立貝の成長、付着物等による重量増、波浪の影響、水揚げ時の抵抗等による該係止ピンの連結部の破断を可及的に防止し、帆立貝係止、支持の強度の高い係止ピンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本考案の第1実施例に係る帆立貝養殖用係止ピンの側面図である。
【図2】図1の帆立貝養殖用係止ピンの平面図である。
【図3】図2の各部の断面図で、Aは、図2のA−A線断面図、Bは、図2のB−B線断面図、Cは、図2のC−C線断面図、Dは、図2のD−D線断面図である。
【図4】本考案の第2実施例に係る帆立貝養殖用係止ピンの側面図である。
【図5】図4の帆立貝養殖用係止ピンの平面図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】本考案の第3実施例に係る帆立貝養殖用係止ピンの側面図である。
【図8】図7の各部の断面図で、Aは、A−A線断面図、Bは、同B−B線断面図、Cは、同C−C線断面図、Dは、同D−D線断面図である。
【図9】帆立貝養殖用係止ピンに帆立貝を係止した初期の状態の説明図である。
【図10】帆立貝が成長し、重くなったり、付着物の影響で重くなり、帆立貝養殖用係止ピンが伸びた状態を示す説明図である。
【図11】帆立貝養殖用係止ピンの伸びた連結部が破断し、帆立貝が脱落する状態を説明した図である。
本考案の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、本考案の第1実施例に係る帆立貝養殖用係止ピンの側面図、図2は、図1の帆立貝養殖用係止ピンの平面図、図3は図2の各部の断面図で、Aは、図2のA−A線断面図、Bは、図2のB−B線断面図、Cは、図2のC−C線断面図、Dは、図2のD−D線断面図である。
これらの図面を参照して本考案の第1実施例を説明する。
【0019】
図1おいて、1は帆立貝養殖用係止ピンを示し、軸部2の両端部には、先端部が尖った銛状の係止部3,3を対称的に有し、係止部3,3の先端部に近い軸方向内方部分には径方向外方に起立突出した帆立貝抜止片4,4を備える。
各帆立貝抜止片4,4は、軸方向内方に対称的に傾斜し、実施例では、径方向外方に若干湾曲して形成されている。
【0020】
軸部2の中央部2aは最も大径で、断面が図3のDで示したように円形断面をなす。
中央部2aの外周で、前記した帆立貝抜止片4,4と同方向にロープ抜止片5,5を突出して設け、ロープ抜止片5,5は、夫々向かい合うように傾斜して「ハ」字形をなす。
【0021】
以上において、軸部2の帆立貝抜止片4,4の基部部分2b,2bから軸部2の中央部2aに近いロープ抜止片5,5の直前の基部部分2c,2cを連結部6とする。
連結部6は、帆立貝抜止片4,4の基部部分2b,2bを最も小径とし、その断面は図3のAの通りで、軸部2の中央部2aの円形断面に対し逆蒲鉾状断面である。
一方、軸部2の中央部2aに近い連結部6のロープ抜止片5,5の直前の基部部分2c,2cは、中央部2aと等しいか、これより微少小さい断面で、最も断面が大きく、その直前の断面は図3のCに示す通りである。
【0022】
以上の軸部2の帆立貝抜止片4,4の基部部分2b,2bからロープ抜止片5,5の直前の基部部分2c,2cの連結部6の断面積は、2b,2bから2c,2cに連続して大きくなり、2b,2bが最小で、2c,2cが最大である。
上記した連結部6は、2b,2bから2c,2cへの断面積の変化が、帆立貝抜止片4,4の直後の部分2b、2bから、ロープ抜止片5,5の基部2c,2cの直前まで、断面積が連続して大きくなり、従って、連結部6の断面は、滑らかに連続して傾斜して変化することとなる。
【0023】
以上においては、帆立貝養殖用係止ピン1は、尖鋭な係止部3をその先端から帆立貝の耳片に形成した係止孔に挿入し、帆立貝抜止片4は撓んで係止孔を通過し、係止孔を通過後に図のように起立した状態に復帰し、図9と同様の状態となり、図9と同様にロープ抜止片5,5間にロープは抜け止め、保持される。
【0024】
ところで、図1の2bの部分から2cの部分、即ち、図1のa〜cの間の区間bに図9及び図10と同様に係止、保持した帆立貝により引っ張り、または曲げが作用することとなる。
引っ張り力、即ち軸力Fが加わると、この力Fを断面積Sで割った値が引っ張り応力σとなる(σ=F/S)。
最少断面のa点での応力σが最大となる。このa点を含む領域の伸びが大きくなる。
このa点の隣のd点では、上記した通り断面積が少し大きくなるため、伸びが少し小さくなる。
【0025】
このように、区間bでは、断面積が連続して少しずつ小さくなる。
逆に、伸び量が急に変わる点は存在しない。伸び量が急に変わる点で破断することが考えられるが、本考案では伸び量が徐々に変わる場合には、破断が起こりにくくなる。
即ち、破断への抵抗力が従来よりも格段に大きくなる。
【0026】
本考案によれば、連結部6は断面積が連続して大きくなり、滑らかに連続して傾斜して変化し、連結部6は伸びが急激に変化する点が存在せず、破断が起こりにくくなり、破断への抵抗力が格段に大きくなる。
従って、帆立貝の成長、付着物等による重量増、波浪の影響、水揚げ時の抵抗等による該係止ピンの連結部の破断を可及的に防止し、帆立貝係止、支持の強度の高い係止ピンを得ることができる。
図4乃至図6は、本考案の第2実施例を示す図で、図4は本考案の第2実施例に係る帆立貝養殖用係止ピンの側面図、図5は、図4の帆立貝養殖用係止ピンの平面図、図6は、図5の6−6線断面図である。
帆立貝養殖用係止ピン11の基本構造は前記した実施例と同様であり、軸部12の両端部には、先端部が尖った銛状の係止部13,13を対称的に有し、係止部13,13の先端部に近い軸方向内方部分には径方向外方に起立突出した帆立貝抜止片14,14を備え、軸部12の中央部12aの外周には、帆立貝抜止片14,14と同方向にロープ抜止片15,15を、夫々向かい合うように傾斜して「ハ」字形に突出して備える。
【0028】
本実施例では、帆立貝抜止片14,14の直後の部分12bからロープ抜止片15,15の直前の部分12cまでの連結部16の断面を中央部12aよりも小さくし、且つ断面は連結部16の全長に亘り同じとし、実施例では図6に示したように断面を逆蒲鉾状とした。
【0029】
以上においては、帆立貝養殖用係止ピン11は、上記したと実施例1と同様に、尖鋭な係止部13をその先端から帆立貝の耳片に形成した係止孔に挿入し、帆立貝抜止片14は撓んで係止孔を通過し、係止孔を通過後に図のように起立した状態に復帰し、図9と同様の状態となり、図9と同様にロープ抜止片15,15間にロープは抜け止め、保持される。
【0030】
ところで、図4の12bの部分から12cの部分、即ち、図4のa〜cの間の区間bに図9及び図10と同様に係止、保持した帆立貝により引っ張り、または曲げが作用することとなる。
連結部16である区間bは、全長に亘り同じ断面積であり、伸び量が、急に変わる点は存在しない。
伸び量が急に変わる点で破断することが考えられるが、本考案では伸び量が全長に亘り同じであり、破断が起こりにくくなる。
即ち、破断への抵抗力が従来よりも格段に大きくなる。
【0031】
本考案によれば、連結部16は断面積が全長に亘り同じであり、連結部16は伸びが急激に変化する点が存在せず、破断が起こりにくくなり、破断への抵抗力が格段に大きくなる。
従って、帆立貝の成長、付着物等による重量増、波浪の影響、水揚げ時の抵抗等による該係止ピンの連結部の破断を可及的に防止し、帆立貝係止、支持の強度の高い係止ピンを得ることができる。
図7、図8は、本考案の第3実施例を示す図で、図7は本考案の第3実施例に係る帆立貝養殖用係止ピンの側面図、図8は、図7の各部の断面図で、Aは、同A−A線断面図、Bは、同B−B線断面図、Cは、同C−C線断面図、Dは、同D−D線断面図である。
帆立貝養殖用係止ピン21の基本構造は前記した実施例と同様であり、軸部22の両端部には、先端部が尖った銛状の係止部23,23を対称的に有する。
図1及び図4の実施例と異なる構造は、係止部23,23の形状である。
【0033】
係止部23,23は、両端部で対称な<形、>形をなす。先端部に近い軸方向内方部分には、径方向外方(図の上下方向)に対称に起立突出した帆立貝抜止片24,24及び24,24を備える。
軸部22の中央部22aが最も断面積が大きく、この部分の両端部の外周には、帆立貝抜止片24,24の上下の一方と同方向に、ロープ抜止片25,25を、夫々向かい合うように傾斜して「ハ」字形に突出して備える。
上記した上下に対称に突出する帆立貝抜止片24,24と24,24は、軸方向内方に対称的に傾斜し、実施例では、径方向外方に若干湾曲して形成されている。
【0034】
以上において、軸部22の両端部に近い部分に設けた<形、>形の帆立貝抜止片24,24及び24,24の基部部分22b,22bから軸部22の中央部22aに近いロープ抜止片25,25の直前の基部部分22c,22cを連結部26とすることは、図1の実施例と同様である。
そして、連結部26は、帆立貝抜止片24,24及び24,24の基部部分22b,22bを最も小径とし、その断面は図8のAの通りで、軸部22の中央部22aの円形断面に対円形の上下の部分を上下対称に切断した横長で左右両側部が弧状の略矩形断面である。
【0035】
一方、軸部22の中央部22aに近い連結部26のロープ抜止片25,25の直前の基部部分22c,22cは、中央部22aと等しいか、これより微少に小さい断面で、最も断面が大きく、その直前の断面は図8のCに示す通りであり、円形断面の上下の頂部を切断し、扁平頂辺部と扁平下辺部とを有し、両側部が左右対称の弧状をなす略円形断面に近い断面である。
図7の各部の断面は、図8のA〜Dの通りである。
【0036】
以上の連結部26,26の断面は、軸部22の帆立貝抜止片24,24及び24,24の基部部分22b,22bからロープ抜止片25,25の直前の基部部分22c,22cの連結部26の断面積は、22b,22bから22c,22cに連続して大きくなり、22b,22bが最小で、22c,22cが最大である。
上記した連結部26は、22b,22bから22c,22cへの断面積の変化が、帆立貝抜止片24,24及び24,24の直後の部分22b、22bから、ロープ抜止片25,25の基部22c,22cの直前まで、断面積が連続して大きくなり、従って、連結部26の断面は、滑らかに連続して傾斜して変化することとなる。
【0037】
従って、第1実施例と同様に、連結部26,26は断面積が連続して大きくなり、滑らかに連続して傾斜して変化し、連結部26,26は伸びが急激に変化する点が存在せず、破断が起こりにくくなり、破断への抵抗力が格段に大きくなる。
従って、帆立貝の成長、付着物等による重量増、波浪の影響、水揚げ時の抵抗等による該係止ピンの連結部の破断を可及的に防止し、帆立貝係止、支持の強度の高い係止ピンを得ることができる。
【0038】
以上、第1実施例〜第3実施例の夫々について、詳細に説明した。
第1実施例及び第3実施例では、連結部6,26の断面先が連続して変化させるために、逆蒲鉾状、或いは両側が対称弧状の略矩形から略円形断面としたが、これに代えて、2b、22b〜2c、22cの断面を、その径が、小径から大径に連続して大きくなるようにした円形断面でも良い。
また、第2実施例において、先端部の略∠形の形状に対し、第3実施例と同様に<形、>形の形状としても良い。
【0039】
本考案に係る帆立貝養殖用係止ピンは、帆立貝の養殖に利用することができる。
1,11,21…帆立貝養殖用係止ピン、 2,12,22…軸部、 3,13,23…係止部、 4,14,24…帆立貝抜止片、 5,15,25…ロープ抜止片、 6,26…断面積が連続して大きくなる連結部、 16…断面積が同じ断面形状の連結部。
【課題】帆立貝の養殖に際し、ロープに係止ピンを介して取り付けた帆立貝が、抜け出難くなる形状を有した係止ピンを提供する。【解決手段】軸部2の両端部に、軸方向内方に斜め上方に延出する帆立貝抜止片4を備え、先端部が銛状で、帆立貝抜止片を含む形状が略∠形の帆立貝の係止部3を対称に備え、軸部の中央部に軸方向に離間し、且つ軸方向内方に向かい合うように斜め上方に突出するロープ抜止片5を備える合成樹脂製の帆立貝養殖用の係止ピンであり、帆立貝抜止片4の基部の直後の部分2bから、ロープ抜止片5の基部の直前の部分2cまで、軸部2よりも小径の連結部6を設け、連結部6は、帆立貝抜止片の基部の直後の断面積が最も小さく、ロープ抜止片の基部の直前の断面積が最も大きく、帆立貝抜止片の基部の直後からロープ抜止片の基部の直前まで、断面積が連続して大きくなるようにする。
インターネット上にあるこの特許番号にリンクします(発見しだい自動作成):