(54)【考案の名称】シート類綴じ具

(73)【実用新案権者】白金化成株式会社

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図1

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、ファイル等の被取付面に取り付けられ、多数の穿孔を有するルーズリーフ、一対以上の穿孔を有する用紙またはプラスチックフィルム等のシート類を綴じるシート類綴じ具に関する。

【従来の技術】

【0002】
従来のこの種のシート類綴じ具としては、ベースとベースの対向する端部からそれぞれ延びる一対の舌状片とを一体的に有した金属材料からなるものが一般的に知られている。
【0003】
このようなシート類綴じ具では、ベースの片面に接着剤層が設けられており、該接着剤層は離型シートで覆われている。このシート類綴じ具を被取付面に取り付ける際には、ベースと舌状片との角度を約90度になるように、舌状片をベースに対して折曲した状態で、ベースから離型シートを剥がして接着剤層をファイル等の被取付面に接着すると共に、ファイル等に形成された一対のスリットに舌状片を通過させて、舌状片を被取付面と反対側の面に突出させることで、取り付けることができる。そして、シート類を綴じるときには、舌状片をシート類に形成された穿孔に通し、次いで、舌状片の折曲を戻して、舌状片をベースとほぼ同一平面上になるようにすることで、シート類が綴じ込まれる状態となる。
【0004】
また、別のタイプのシート類綴じ具としては、特許文献1に記載したものが知られている。このシート類綴じ具では、ベースの表面側に配設された表面側の合成樹脂シートと、ベースの裏面側に配設された裏面側の合成樹脂シートを配設し、これらの表面側と裏面側の合成樹脂シートの周囲を溶着している。表面側の合成樹脂シートには、一対の舌状片が突出するためのスリットが形成されており、裏面側の合成樹脂シートには離型シート付き接着剤層が添着されている。このシート類綴じ具を被取付面に取り付ける際には、離型シートを裏面側の合成樹脂シートから剥がして接着剤層をファイル等の被取付面に接着することで、取り付けることができる。この場合、ベースと舌状片とは金属材料または合成樹脂材料から構成される。
【0005】

【効果】

【0016】
本考案によれば、綴じ具本体を、形状保持性を有する非金属材料から構成することにより、廃棄に関する問題を低減させることができる。また、形状保持性を有することにより、舌状片をベースに対して折曲して、シート類に形成された穿孔に舌状片を通した後、舌状片の折曲角度を約0度に戻すかまたは180度にしたときに、舌状片のスプリングバックによる折曲戻りが小さくなるために、確実にシート類を綴じ込んだ状態に保持することができ、綴じ込み能力の高いシート類綴じ具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本考案の第1実施形態に係るシート類綴じ具の斜視図である。
【図2】図1のシート類綴じ具を被取付面に取り付ける際の状態を表す斜視図である。
【図3】(a)、(b)は図1のシート類綴じ具にシート類を綴じ込む際の側方断面図である。
【図4】図1のシート類綴じ具を別の被取付面に取り付けた状態を表す斜視図である。
【図5】本考案の第2実施形態に係るシート類綴じ具の平面図である。
【図6】本考案の第2実施形態に係るシート類綴じ具の側方断面図である。
【図7】(a)は本考案の第2実施形態の変形例に係るシート類綴じ具の平面図、(b)は(a)の綴じ具本体の平面図である。
【図8】第1実施形態及び第2実施形態(及びその変形例)において、綴じ具本体を別の材料から構成した場合の側方断面図である。

【0018】
以下、図面を用いて本考案の実施の形態を説明する。
図1は本考案の第1実施形態に係るシート類綴じ具の斜視図である。
【0019】
シート類綴じ具10は、ベース12と、ベース12の対向する端部からそれぞれ外側に延びる一対の舌状片14,14とからなる綴じ具本体16からなり、綴じ具本体16は、形状保持性を持つポリオレフィン系樹脂材料から構成される。
【0020】
ベース12の一面には接着剤層18が設けられる。接着剤層18は、片面が離型シート19により覆われた両面接着テープによって構成することができる。
【0021】
綴じ具本体16は、舌状片14がベース12に対して折曲自在であり、舌状片14をベース12に対して約90度折曲させてから、折曲角度を約0度近くに戻したときに、スプリングバックにより戻る折曲戻り角度が20度以下となるような、形状保持性を有するものとする。この形状保持性を持つ綴じ具本体16は、例えばポリオレフィン系樹脂材料によって構成することができる。ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を例示することができる。
【0022】
また、綴じ具本体16の厚みとしては、任意の厚みとすることができるが、0.2〜1.5mmとするとよく、好ましくは、0.6〜1.0mmまたは0.8mmである。
【0023】
以上のように構成されるシート類綴じ具10を被取付面Aに取り付けるには、図2に示すように、まず、舌状片14をベース12に対して約90度折曲し、離型シート19を剥がした後、ファイルFの裏表紙といった被取付面Aに形成された一対のスリットS、Sに一対の舌状片14を差し込み、被取付面Aにベース12を接着剤層18を介して接着することで、被取付面Aにシート類綴じ具10を取り付けることができる。
【0024】
次いで、シート類を綴じ込むときには、図3(a)に示すように、ベース12に対して約90度折曲した状態の舌状片14、14をシート類Pの一対の穿孔に通した後、図3(b)に示すように、舌状片14、14の折曲を戻して、折曲角度が0度に近い角度になるようにする。これによって、シート類Pは、舌状片14、14を通過することができなくなるので、シート類綴じ具10に綴じ込まれることになる。
【0025】
ここで、舌状片14、14に、スプリングバックにより大きな折曲戻りが生じていると、取扱い方によって、シート類が舌状片14、14から抜け落ちてしまう恐れがあるが、前述の綴じ具本体16の形状保持性により、かかる折曲戻りを表す折曲戻り角度θが20度以下に抑止されるために、確実にシート類を綴じ込んだ状態に保持することができ、綴じ込み能力の高いシート類綴じ具とすることができる。
【0026】
このようなシート類綴じ具10では、綴じ具本体16が合成樹脂材料からなるために、通常、紙材料または合成樹脂材料からなる被取付面を有するファイル等と一緒に廃棄することが可能になり、分別の手間がかからない。
【0027】
被取付面は任意のものとすることができるが、シート類を綴じるファイルFの面とすることができる。また、シート類綴じ具10の被取付面Aへの取り付けは、上記接着剤層を介して接着する他に溶着等の任意の手段により取り付けることができる。
【0028】
図4は、シート類綴じ具10が取り付けられる被取付面AをファイルFの内側に設けられた折り返し部またはファイルの内側に溶着された取付片として、その折り返し部または取付片にシート類綴じ具10を取り付けた例を示す。このように、シート類綴じ具10はシート類を綴じるファイル等に設けられた任意の面に取り付けることができる。
【0029】
図5〜6は、第2実施形態を表す図である。
【0030】
この第2実施形態では、綴じ具本体16のベース12の部分が、合成樹脂材料のフィルムシートによって包囲されている。即ち、綴じ具本体16のベース12の表面側には、表面側合成樹脂シート20が配設され、裏面側には、表面側合成樹脂シート20とほぼ同じ形状・寸法の裏面側合成樹脂シート22が配設され、表面側合成樹脂シート20と裏面側合成樹脂シート22とは、その周囲縁20a、22aが高周波ウエルダによって溶着されている。
【0031】
表面側合成樹脂シート20及び裏面側合成樹脂シート22は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料で構成することができる。
【0032】
表面側合成樹脂シート20には、一対の開口20b、20bが形成されており、一対の開口20b、20bを一対の舌状片14、14が通過している。
【0033】
また、裏面側合成樹脂シート22の裏面側には、離型シート23付きの接着剤層24が設けられる。
【0034】
以上のように構成されるシート類綴じ具10を被取付面Aに取り付けるには、離型シート23を剥がした後、接着剤層24を介して裏面側合成樹脂シート22を被取付面Aに接着することで、簡単に被取付面Aにシート類綴じ具10を取り付けることができる。裏面側合成樹脂シート22の面積はベース12の面積よりも大きいために、接着剤層24の面積を大きく確保することができて、被取付面Aに対して強い接着力を得ることができる。
【0035】
また、シート類を綴じ込むときには、第1実施形態と同じ手順で行うことができ、この際に、綴じ具本体16の形状保持性によって、確実にシート類を綴じ込んだ状態に保持することができ、綴じ込み能力の高いシート類綴じ具とすることができる。
【0036】
図7は、第2実施形態の変形例であり、この例では、綴じ具本体16が、ベース12とその対向する端部から切り込み12aによりベース12側に内側に延びる一対の舌状片14と、を有しているが、綴じ具本体16の素材については、前実施形態と同じである。
【0037】
この場合にも、第2実施形態と同様の作用効果が得られ、舌状片14の折曲戻り角度が小さいために、確実にシート類を綴じ込んだ状態に保持することができる。
【0038】
第1実施形態及び第2実施形態(及びその変形例)において、綴じ具本体16を、形状保持性を持つポリオレフィン系樹脂材料から構成する代わりに、図8に示すように、その表面側と裏面側とに合成樹脂フィルム32を貼り合わせることによりコーティングされた紙材料からなる紙材料シート30から構成することができる。合成樹脂フィルム32としては、ポリエチレンフィルムといったポリオレフィン系フィルムとすることができる。綴じ具本体16の厚みとしては、任意の厚みとすることができるが、0.2〜1.5mmとするとよく、好ましくは、0.6〜1.0mmまたは0.8mmである。
【0039】
紙材料だけであると、耐久性及び形状保持性に難点があるが、紙材料からなる紙材料シートの表面側と裏面側とに合成樹脂フィルムをコーティングした紙材料シートから綴じ具本体16を構成することにより、形状保持性を持たせることができる。
【0040】
また、この紙材料シートから綴じ具本体16を構成することにより、廃棄時に分別の手間等を不要とすることができる。
【0041】
10 シート類綴じ具
12 ベース
14 舌状片
16 綴じ具本体
18、24 接着剤層
20 表面側合成樹脂シート
20a 周囲縁
20b 開口
22 裏面側合成樹脂シート
22a 周囲縁
30 紙材料シート
32 合成樹脂フィルム
F ファイル

(57)【要約】

【課題】廃棄の際に分別の手間が少なく、且つシート類の綴じ込み能力の高いシート類綴じ具を提供する。【解決手段】ベース12と、ベース12の対向する端部から延びる一対の舌状片14、14とからなる綴じ具本体16を備えたシート類綴じ具10において、綴じ具本体16は、形状保持性を有する非金属材料であるポリオレフィン系樹脂材料から構成される。


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