(54)【考案の名称】改良型背環

(51)【国際特許分類】

A45C 3/02 ・書類鞄 類似物

(73)【実用新案権者】株式会社協和

(72)【考案者】【考案者】

[fig000002]
【選択図】図10

【概要説明】

【分野】

【0001】
本考案は、ランドセルの正面に設けた背板に形成した嵌合穴内に取付ける、背負いベルト連結用の改良型背環に関するものである。

【従来の技術】

【0002】
最近は、学童がランドセルを背負ったり外したりする動作を容易にするため、背負いベルトをランドセルの背板に連結するための取付具、即ち、背環はその内部に背負いベルト連結用の可動アームを左右動可能に装着するため構造が複雑になって必然的に厚みが増している。また、左右動する一対の可動アームは中央方向に付勢する復帰用バネを収容するため、該背負いベルトに肩を入れる際には可動アームを外方に広げて肩を入れやすくし、その後、バネによって該可動アームを中央方向に復帰させて背負いベルトが学童の肩部に当接するようにしている。
【0003】
このように従来の背環は構造が複雑になるため必然的に厚みが増し、背板の表面に該背環を取付けると該背環の表面部は、背板表面から正面側に突出する量が増大する。図12に示すように、ランドセル1の背板2aの正面上部中央に背負いベルトを連結する可動アーム19aを有したベルト取付具、即ち背環10aは、背板2aを貫通させるボルト・ナット10bを用いて装飾片10cなどと共に、該背板2aの正面表面に固着してある。
【0004】
そのため、背板2aの正面側の両側及び下部に装着させるクッション部4aは、背環の厚さXを含むため、背板2aの正面に取付ける該クッション部4aの厚さYは、クッション部の通常の厚さZと背環の厚さXをプラスした厚さ(高さ)(Y=Z+X)にしないと、背環10aの表面が学童の背中に当たってしまうおそれがあった。そのため、必然的に背板正面に装着するクッション部4aはその厚さYが増して厚くなるという欠点がある。
【0005】
ランドセルの厚さ、即ち、背板部分の厚さが増すと、教科書やノートなどを収容する収容部1aの位置が学童の背中から離れて後退し、その結果、ランドセルの重心が後方(ランドセルの前方側)に移動するため、ランドセルを背負った学童の上半身が後方に引かれてそっくり返えるような状態で歩行するようになり、また、歩行の際にランドセルが左右に揺れて歩行しにくくなるという問題点を有していた。
【0006】

【効果】

【0012】
本考案は、背環の主要部である背環本体を背板に設けた嵌合穴8内に収容することにより、背板の正面側に設けるクッション部の高さを低くすることができ、その結果、従来のランドセルのように背板の厚みが増して重心が後方に移動するのを防ぎ、ランドセルの厚みを薄くして学童の背中に密着させ、歩行の際のランドセルの左右のゆれを防止して歩行を容易にする利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ランドセルの背板に設けた嵌合穴に背環を取付けた状態の正面図である。
【図2】背板の正面図である。
【図3】取付基板の正面図である。
【図4】図3のB―B線断面図である。
【図5】可動アームの正面図である。
【図6】可動アームの背面図である。
【図7】図5のC−C線断面図である。
【図8】カバー板の正面図である。
【図9】カバー板の背面図である。
【図10】嵌合穴に取付基板とカバー板とからなる背環を取付けた状態の図1のA−A線断面図である。
【図11】嵌合穴に取付基板および可動アームを装着させた状態の一部省略した拡大正面図である。
【図12】従来の背環をランドセルの背板の正面上部中央に取付けた状態の一部省略した側面図である。

【0014】
本考案は、背板2の上部中央に貫通して設けた嵌合穴8内に背環10を取付け、背板表面から突出する背環の部分を少なくし、それによって背板正面に設けるクッション部を低く形成することができた。
【0015】
本考案の実施例を図面に基づいて説明すると、図1はランドセルの背板に設けた嵌合穴に取付けた状態の正面図、図2は背板の正面図、図3は取付基板の正面図、図4は図3のB−B線断面図、図5は可動アームの正面図、図6は可動アームの背面図、図7は図5のB−B線断面図、図8はカバー板の正面図、図9はカバー板の背面図、図10は嵌合穴に取付基板とカバー板とからなる背環を取付けた状態の図1のA−A線断面図である。
ランドセルの正面に設けた背板2の背面側(前方)に教科書やノートなどを収容する収容部を有し、該背板の上部中央に貫通して設けた嵌合穴8に嵌合させた背環10に、上部を連結した一対の背負いベルト3,3の下部は、前記ランドセルの外底面の左右位置に取付けたベルト連結具(図示せず)に連結してある。
【0016】
背板2は、不織布に合成樹脂材を含浸させて硬化したもの、ボール紙に合成樹脂材を含浸させて硬化したもの、合成樹脂板等を用いて形成した芯板の表面に弾力性を有してそれぞれ所定形状に形成した発泡性合成樹脂材を背板正面の左右両側、中央部、下部にそれぞれ配して表面を天然皮革または合成皮革などの表地で覆って左右クッション部4,4、高さを低くした凹入状の中央クッション部5、下方に設けた下部クッショ部6を設け、さらに上部中央に設けた平坦部7に、例えば、略楕円形状など任意形状をした嵌合穴8を形成してある。
【0017】
10は、一対の可動アーム19及びバネ23を内部に収容する取付基板11と、この取付基板の正面に取付けるカバー板30とからなる背環で、ランドセル用背板の上部中央に設けた嵌合穴8内に嵌合して取付けることにより、該背環の主要部分を嵌合穴8内に収容して背板の表面部分への突出部分を少なくした。
【0018】
背環の一方を構成する取付基板11は軽金属製や硬質合成樹脂製などからなり、前記背板に設けた嵌合穴8より一回り大きく形成し、該取付基板の正面側周縁部の内側に沿って前記嵌合穴8に嵌合させる背環本体12を立ち上げて設けてある。この背環本体12の長さは、前記嵌合穴8の深さと同じ長さに形成してあり、該背環本体12はその強度が弱まらないよう途中に切欠部などを設けないで連続して形成してある。
【0019】
この背環本体12外方の該取付基板の周縁部正面には、平坦な係止鍔13を連続して形成してあり、該係止鍔13は前記嵌合穴8の裏面周縁部に係止する。さらに、該取付基板の正面任意箇所、例えば、両側部、中央部の上下部などにはそれぞれ中心にピン孔14,14を貫通して設けた複数の支柱15,15を前記背環本体12と同じ高さに形成してある。この支柱15の形状は必ずしも円柱状に限らないが、後記するアーム室16,16内に設けた支柱15a、15aは円柱状に形成してある。また、前記背環本体12の下側中央部には、上部方向に凹ませた凹入壁12cを該背環本体と連続して一体に形成し、該凹入壁12cの外側には前記係止鍔13と一体の平坦面13aを形成し、該平坦面13a内には支柱15を樹立して設けてある。
【0020】
筒状をしたベルト連結部20を略水平方向に配して上部に設けた可動アーム19の中間部両側に弧状の案内片21,21を形成し、該案内片は前記可動アームの裏面に段状に突出させて形成した円弧部21aにより一連に連続して、該案内片及び円弧部が前記背環本体12の上部両側内面に設けた弧状面12b,12bに案内されながら可動アームは左右動するようにしてある。
【0021】
前記可動アーム19,19の裏面下部中心に設けた軸承口22を、該アーム室内に位置した円柱状の支柱15a,15aに挿入して回動可能に軸支させ、該可動アームの上部をアーム室の外部上方に突出させてアーム室16,16内にそれぞれ収容してある。さらに、前記軸承口22と同心に該可動アームの裏面に設けたバネ溝24内に装着したバネ23の一端23aは、該可動アームの裏面一側に設けた直線溝部24aに収容し、該バネ23の他端23bは前記直線溝部の他側に設けた切欠部24bから外方に突出させて各アーム室16、16の側方内面に設けたバネ止12a,12aに掛止させて、可動アーム19,19はそれぞれ中央方向に付勢させてある。
【0022】
背環の他方を構成するカバー板30は軽金属製や硬質合成樹脂製などからなり、前記取付基板11と略同形であって前記嵌合穴8より一回り大きく形成して前記取付基板の正面端に取付けるもので、該カバー板の背面には、前記取付基板の背環本体12と一体又は別体に複数設けた形成してある支柱15,15に存するピン孔14,14と合致する位置にそれぞれ金属製の圧入ピン31,31を樹立させてある。この圧入ピンの長さは、前記ピン孔14の長さと略同じに形成してあり、また、該ピンの軸方向周面には同心円状に多段に形成した複数の食込刃は、前記ピン孔14内に圧入すると脱出できない構成を有している。即ち、食込刃は前進方向は傾斜面に形成し、後退方向は直交面に形成してある。さらに、該圧入ピン31の後端に設けたやや大径の頭部32は、カバー板の表面から露出しないよう該カバー板を形成する部材内に埋め込んで形成してある。
【0023】
このカバー板30の周縁部の内側、即ち、前記嵌合穴8の正面側周縁部と接する面には、前記係止鍔13と対をなす係止受鍔32を形成し、該カバー板の上部両側には、扇形をした開口部34,34を該カバー板の正面側に斜状に突出させて形成してある(図10)。そのため、前記取付基板のアーム室16,16内に収容させた可動アーム19,19の上部は、背環の外方に突出して左右動することができる。
【0024】
カバー板30の上部中央背面(内面)側に、吊下環35をカバー板30の正面側に倒せるように回動可能または上下動可能に取付けてある。この吊下環35は、ランドセルを使用しない場合に、教室などの壁面に設けてあるフック等に掛止するためのものである。
【0025】
嵌合穴8を変形させた他の実施例について説明すると、図2に示すように、背板2に設けた嵌合穴8の下側の中央部を、上方に突出させて突出部片8aを設け、前記取付基板の背環本体12の中央下部に凹入壁12cを連続して形成し、該凹入壁12cの外方には前記係止鍔13と連続した平坦面13aを設けてある。この平坦面13aにはピン孔14を有した支柱15が設けてあるので、該突出部片の上部を前記凹入壁12cに係合させると共に、前記孔部8bを前記平坦面上に設けた支柱15に挿入し、カバー板30を取付けて該突出部片8aを前記取付基板の平坦面13aとカバー板30の背面(内面)とで挟持して固定してある。
【0026】
上記のように、背板2に設けた嵌合穴8より一回り大きく形成した取付基板12の周縁部に設けた係止鍔13と、同じく該嵌合穴より一回り大きく形成したカバー板30の周縁部に設けた係止受鍔33とによって背板の嵌合穴の周縁部の両側面を挟持してある。さらに、背板の一部をなす突出部片8aは、取付基板の平坦面13aとカバー板30の背面とで挟持されると共に、該突出部片8aは該背環本体12の中央下部に設けた凹入壁12c内に係合し、さらに、前記平坦面13a上に設けた支柱15に、該突出部片に設けた孔部8bを嵌合させることにより、背板2と背環10とは嵌合穴8内に嵌合させた背環本体12と前記孔部8bに支柱15の2ケ所で固定するため、該嵌合穴内に嵌合した背環は嵌合穴内で遊動することなく固定できる。
【0027】
この取付基板11の背面側(表面側)周縁部およびカバー板31の正面側(表面側)周縁部には、それぞれ傾斜面11a,30aを形成して、外周縁部が薄くなるようにそれぞれ傾斜させて端部を弧状に形成し、それによって挟持された背板2と取付基板11およびカバー板30との間に生じる段差を少なくしている。このように背環の主要部分12が嵌合穴8内に収容され、該嵌合穴の両側面に、取付基板11の係止鍔13とカバー板30の係止受鍔33とで挟持している。このように、背環の主要部分は嵌合穴8内に収容されるため、該背板2の正面に装着させるクッション部は特別に厚さを増す必要がなく、該クッション部を薄く形成することができる。
【0028】
次に、本実施例の作用について説明すると、背板2の嵌合穴8内に取付基板の背環本体12を嵌合させると、該背環本体の外方に設けた係止鍔13が該嵌合穴8の裏面側周縁部に係止し、該背環本体12の正面端は背板2の正面と同一面をなしている。ついで、該背環本体内部のアーム室15,15内に、ベルト連結部20を有した可動アーム19、19を収容し、該可動アームの裏面下部に設けた軸承口22と同心に設けたバネ溝24内に装着させたバネ23の一端23aを該可動アームの直線溝部24a内に掛止し、バネの他端23bを前記アーム室内に設けたバネ止部12a,12aに掛止して、該可動アームを中央方向に付勢させ、該軸承口22をアーム室内の支柱15a,15aに左右動可能に軸承させてある。
【0029】
前記支柱15,15を有した取付基板11と、前記支柱に設けたピン孔14,14と合致する圧入ピン31,31を有したカバー板30とを圧着させることにより、複数の圧入ピンをピン孔内に圧入して固着でき、背板の嵌合穴8内への背環10の取付け作業を一回で完了できるため作業が簡単で極めて便利である。
【0030】
ピン孔14内に圧入させた圧入ピン31に引き抜き方向の力が作用すると、圧入ピン31の直径が1mm、ピンの頭部の直径が5mmとして5本のピンを用いて連結した場合、約30kgの力に耐えることができるのでピンの直径を2〜3mmと太くすることにより70〜100kgの力に耐えることが可能となり、前記取付基板11の正面にカバー板30を圧着固定すると、前記嵌合穴8内に収容して取付けられた背環本体12は、取付基板の係止鍔13とカバー板の係止受鍔33とで嵌合穴8の周囲の両側面を挟持して背板に取付けることができる。
【0031】
さらに、背板2に設けた嵌合穴8の下側中央部から上方に突出部片8aを設け、前記取付基板の背環本体12の中央下部に連続して設けた凹入壁12c内に前記突出部片を係合し、平坦面13aに該突出部片8aの背面を当接し、且つ、該平坦面13aに設けたピン孔14を有した支柱15に、該突出部片8aに設けた孔部8bを嵌合し、取付基板11の正面側からカバー板30を圧着させると、該背板の嵌合穴内には取付基板の背環本体12が嵌合され、また、前記孔部8b内には取付基板に設けた支柱15が嵌合されることにより該背板に取付けられ背環は上記した2ケ所で固定される。そのため、取付基板の係止鍔都カバー板の係止受鍔とで挟持されて該嵌合穴内に収容された背環10は、該嵌合穴内で遊動することなく固定することができる。
【0032】
2 背板
8 嵌合穴
10 背環
11 取付基板
12 背環本体
13 係止鍔
14 ピン孔
15 支柱
16 アーム室
19 可動アーム
20 ベルト連結部
22 軸承口
23 バネ
30 カバー板
31 圧入ピン
33 係止受鍔
34 開口部
35 吊下環

(57)【要約】

【課題】背板の正面側に設けるクッション部の高さを低くすることができ、その結果、重心が後方に移動するのを防ぎ、歩行の際のランドセルの左右のゆれを防止して歩行を容易にするランドセルを提供する。【解決手段】背板2に設けた嵌合穴8より一回り大きく形成した係止鍔13の周縁部内側に形成した該嵌合穴嵌合用の背環本体の内部に設けたアーム室内に、ピン孔を有した支柱15を形成して取付基板11を設け、前記アーム室内に設けた支柱に一対の可動アーム19の下部に設けた軸承口を軸承させてバネで中央方向に付勢させて左右動可能に装着し、前記嵌合穴8より一回り大きく形成した係止受鍔33を周縁部に形成し、前記可動アームの上部を外方に突出させる扇形をした開口部34を左右上部に設け、前記ピン孔と合致する位置に夫々圧入ピン31を樹立させたカバー体を形成して前記ピン孔に前記圧入ピンを圧着した背環10を嵌合穴内に収容する。


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